さる3月4日、有志による「第2回西荻文学散歩」を行いました。3月にしては寒い一日でしたが、今回は実際に西荻の町を歩いてみようという企画でもあり、10名ほどが集まりました。
準備したしおりで軽く行程を確認したあと、駅南口を出発。まず闇市の名残の飲食店街を通ります。善福寺で生涯を終える作曲家の遠藤実は、駆け出しの頃には西荻窪や荻窪の繁華街を「流し」(お客のリクエストに答えて演奏や伴奏をし)て歌手をめざしていたというエピソードを紹介しながら、作家の中井英夫が住んでいた青雲荘の跡に向かいます。
青雲荘は駅から下りきった低地に建っており、このあたりは昔、大雨の後に水が溜まり、なかなか引かなかった場所だとか。
中井英夫が不遇の時代を過ごした面影はあまり残っていないのですが、近くには映画館や行きつけのバーなどもあったとのこと、作家はきっとそこで淋しさを慰めていたのだろうかと想像しました。
次に、高架下を抜けて北口エリアに出ます。神明通り沿い、かつて シナリオライターたちが「カンヅメ」となって脚本を書いていた旅館跡(木村館)の前を通り過ぎると、三角屋根の洋館が点在する場所に。建築家F・L・ライトの弟子、遠藤新が大正から昭和の初期に建てた住宅が、いまも何軒か残っているとのこと。このあたりで文学散歩は建築散歩の様相を示してきました。