質問
1. 2009年の西荻ブックマークで印象に残っている回を教えてください。
2. 2009年に特に印象に残った本をめぐるあれこれを教えてください。
3. 2010年に注目したい本をめぐるあれこれを教えてください。
同人誌「某」「FANTAST」所属。ダンセイニ研究誌「PEGANALOST」評論担当。
2009年2月~12月まで日本の古本屋メールマガジンにて評論を不定期連載。
現在、フリーペーパー「こらぼん」にコラム連載中。
1. 2009年の西荻ブックマークで印象に残っている回
山前譲さんの探偵小説を巡る回でしょうか。怪しい探偵小説の世界が楽しかった。
2. 2009年に特に印象に残った本をめぐるあれこれ
収穫は、長山靖生さんの「日本SF精神史」(河出書房)。
文学史の書き換えを実践しています。
森開社「山中富美子詩集抄」も素晴らしい仕事だと思います。
限定380部ですので、興味ある方はお急ぎを。
3. 2010年に注目したい本をめぐるあれこれ
森開社で準備中の「左川ちか詩集」でしょう。
未収録がいろいろ入りそうなので、期待しています。
造形作家堀内薫さんの書き下ろしの長編小説「水晶散歩」が収録された同人誌「片影」2号を1月中に出せればと思います。
12月に配信された日本の古本屋メールマガジンに、学研からでた「最後のユニコーン」をとりあげています。良かったらよんでみてください。
nishiogi-bookmark.org、twitter@nbookmarkの中の人。
「西荻文芸ガール」……? 獅子座で寅年、年女です!
1. 2009年の西荻ブックマークで印象に残っている回
2. 2009年に特に印象に残った本をめぐるあれこれ
- 水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』(小学館)
- 草森紳一『本の読み方』(河出書房新社)
- 「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」(世田谷文学館)
- 西炯子『娚の一生』(小学館)
- 笙野頼子『海底八幡宮』(河出書房新社)
- トークショー「書肆ユリイカの本、人、場所」(東京古書会館)
- 「アトリエ空中線10周年記念展 インディペンデント・プレスの展開」(ポスターハリスギャラリー)
- 市川春子『虫と歌』(講談社)
- 都築響一編『Showa Style 再編・建築写真文庫〈商業施設〉』(彰国社)
3. 2010年に注目したい本をめぐるあれこれ
この2作品があるから、現在をもうちょっとだけ生き延びられる、ような気がする!
- 柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』(集英社)
- 日本橋ヨヲコ『少女ファイト』(講談社)
- 平出隆『鳥を探しに』(双葉社、1/20刊行予定)
- 川崎賢子『尾崎翠論』(岩波書店)
- 岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』『雨無村役場産業課兼観光係』(小学館)
- 諸星大二郎『西遊妖猿伝 西域篇』(講談社)
- 第10回尾崎翠フォーラム in 鳥取
- 第2回高遠ブックフェスティバル
- 『ドノゴトンカ Donogo-o-Toknka』創刊号
あと、本じゃないんですけれど、ジョニー・トー監督の『エレクション2』の日本版DVD(4/2リリース予定)が超楽しみ、
待ち遠しいです!
実行委員をやっていた「尾崎翠の新世紀 ―第七官界への招待―」(3/27・28、日本近代文学館)、企画から関わった『道の手帖 尾崎翠』(河出書房新社)、その刊行記念イベントだった第34回西荻ブックマーク「ガルボのように――1920-30年代東京・モダンガールとしての尾崎翠」と、どっぷり尾崎翠漬けだった2009年。
「尾崎翠の新世紀」、高遠ブックフェスフェスティバル(8/29・30)、そして西荻ブックマークも皆勤!とイベントづいていた一年でもありました……。
1. 2009年の西荻ブックマークで印象に残っている回
第34回「ガルボのように――1920-30年代東京・モダンガールとしての尾崎翠」
対談・演奏・スライド上映等により、一つのテーマを立体的に深めようとしたこころみとして。
2. 2009年に特に印象に残った本をめぐるあれこれ
- ‘文化’資源としての炭鉱展 およびその図録(11月4日~12月27日)
http://www.mmat.jp/event/tanko/index.htmlかつて石炭の時代がありました。この美術展は”炭鉱と視覚表現の関わり・炭鉱を主題にした視覚表現の文化資源化”などを目的に、全国の自治体・美術館から作品・資料をかき集めた、規模の大きなものでしたが、あまり知られることがなく終わったのが、とても残念。
炭鉱と向き合った芸術家たちのテーマには、その特異な風景や採掘の実態のほかに、労働問題・閉山前後の貧困・炭坑夫から移民への転進とその挫折・廃墟化と再生の試みなど、数多くのものがありました。作品を前にした私などは、芸術家たちのなまなましい苦闘の痕から、無数の人々の人生をうかがい知ることとなり、強烈な印象を受けました。
野見山暁治をはじめ芸術家たちのロング・インタビューを収録し、多数の図版をおさめたカタログは、時間的制約の中、読み応えのある貴重な記録となっています。何かの折にであったら、ぜひ手にとってみてください。
- 「『地球の歩き方』の歩き方」山口さやか・山口誠 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/320221/1979年「地球の歩き方」は現在の単行本の形として登場しました。当初は学生の貧乏旅行のバイブルとして、のちには一般の観光案内本として、最も有名なシリーズとなったのはご存じのとおり。
編集チームは企業向けの海外研修旅行の企画部門からスタートしたとか、バックパッカーの知見も盛りこみ「自由旅行」というネーミングで学生の心をとらえたりとか。関係者に聞く創生期の苦労は、自由な時代と若者たちの熱い心情がうかがわれ、わくわくするほど面白い。日本人の海外旅行史としても秀逸。
たとえその後海外に行くことがなくっても、どんな職業につこうとも、外国語で会話できる能力が最も高い時期に、日本人と違う人々の考え方に直接触れに出かけることが、どれだけ有益な財産になるか…本書を読んであらためて想起したしだいです。
- 「ミラクル三年、柿八年」かんべむさし 小学館文庫
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/sol_detail?isbn=97840940846652009年は、一時代を画したAMラジオ番組が終わりを遂げた年でもありました。(TBS「ストリーム」「コサキン(DEワァオ!)」ABC「サイキック探偵団」など)いずれも聴取率の高い/安定した番組でありながら、スポンサーの意向/スポンサーへの配慮ゆえに消えざるを得ないのは、どのメディアも同じなんでしょうね。
さて、ラジオの放送現場の実態を知るのに、手頃でまとまった本が意外にありませんでしたが、ここに恰好の本が文庫オリジナルで登場しました。 ABC「おはようパーソナリティ道上洋三です」MBS「ありがとう浜村淳です」の強力長寿番組の裏で、堂々戦って散ったラジオ大阪「むさし・くに子の朝はミラクル!」。パーソナリティ、SF作家かんべむさし氏の放送開始から終了までの3年間の挑戦と冒険の記録、いっきに読ませます。また関西の放送文化の層の厚さも再認識。2010年の刊行ですが、失われたラジオ番組への鎮魂をこめて、この欄にあげさせていただきます。もちろんラジオというホットなメディアは、どっこい終わっちゃいない!
3. 2010年に注目したい本をめぐるあれこれ
日本各地のブックイベントの継続と定着に期待を持っています。
参考:一箱古本市の歩きかた (南陀楼綾繁 光文社新書)
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334035365