古本ナイアガラ
一箱系古本店主による常設棚12月10日(土)始動【参加店】
- つん堂
- 暢気文庫
- フォニャルフ(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
- 文庫善哉
- やまがら文庫
- 四谷書房
- 悪い奴ほどよくW(ダブ)る
【緊急企画】第56.5回西荻ブックマーク
2011年11月27日(日)
『Get back, SUB!』刊行記念
SUB CULTUREのスピリットを求めて
北沢夏音×荻原魚雷×森山裕之
開場:16:30/開演:17:00
料金:1500円
定員:50名
要予約
一九七〇年代の伝説的雑誌『SUB(サブ)』とその編集者・小島素治の仕事と生涯を追った初の著書『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』を刊行した北沢夏音さん。「最後のマガジン・ライター」北沢さんが、『クイック・ジャパン』元編集長・森山裕之さん、同誌執筆者だった荻原魚雷さんとともに、連載時の裏話から雑誌論、サブ・カルチュア観まで、熱く語ります。
北沢夏音(きたざわ・なつを)
一九六二年東京都生まれ。ライター、編集者。大学卒業後、少年マンガ誌、ジャーナル誌等の編集に携わる。九二年、街と音楽をつなぐインディペンデント・マガジン『Bar-f-Out!』を創刊。同誌を離れ、マガジン・ライターとして独立後は、数多くの雑誌にサブ・カルチュアにまつわる文章を寄稿。現在も多岐にわたる活動を続けている。
荻原魚雷(おぎはら ぎょらい)
一九六九年三重県生まれ。文筆家。大学在学中からフリーライターの仕事をはじめるも、なかなか生計が立てられず、アルバイトで食いつなぎ、現在にいたる。著書に『本と怠け者』『古本暮らし』『活字と自活』。
森山裕之(もりやま・ひろゆき)
一九七四年長野県生まれ。編集者。大学卒業後、印刷会社の営業マンを経てフリーライターとして活動。その後二〇〇一年より、雑誌『クイック・ジャパン』の編集を手掛ける(二〇〇三~二〇〇七年の間、編集長)。現在は『マンスリーよしもとPLUS』編集長。ラジオのパーソナリティを務めるなど、活動は多岐にわたる。
この秋、再始動した「西荻文学散歩」。
再度動き出した第2回は、西荻北にお住まいのアメリカ文学研究者の荒このみさんをお招きして、駅付近のカフェに場所を設けて行われました。
荒さんは文芸評論家・荒正人の次女として埼玉県に生まれ、津田塾大学助教授を経て東京外国語大学教授として2009年3月まで教鞭を取られていました(現在は同大学名誉教授・立命館大学客員教授)。
荒正人さんの業績は膨大で多岐に渡っているので、年表を追っても全仕事をつかめる訳ではありません。
今回は、『近代文学』での活動と、西荻窪での生活や家族から見た荒氏という点にある程度絞ってお話を聞きました。
このみさんが著作集や写真が載っている本、それに実際に撮った家族や同人達との写真などを用意して下さり、これらの貴重な資料を見ながら、お話を約1時間半にわたって聞きました。
『近代文学』は初期の頃は1万部を刷っていたそうで、紙や印刷所の手配も大変な中で、荒氏の情熱をもって戦後すぐの1946年から1964年まで続けられました。荒氏は編集能力があり、座談会(司会がお上手だったそうです)を行って、誌上に毎号掲載していました。戦後文学の思潮をリードしようとしていた文芸誌『新日本文学』に対して『近代文学』は、文学は政治や思想の手段でなく、それ自体が主体性を持った存在であるという立場をとり、激しい論争(「政治と文学論争」)をリードしました。それらが日本文学界に与えた影響は大きいものでした。
西荻北(当時は井荻2丁目)に引っ越されたのは1946年で、このみさんが子どもの頃は隣の吉祥寺は田舎で、西荻窪の方が栄えていたそうです。当時、1軒しか本格的な洋食屋がなく、それがこけし屋なのですが、“カルヴァドスの会”がそこで開かれていました(田村泰次郎、小松清、細田源吉、石黒敬らがメンバー:1949年に立ちあげた)。クリスマス会も毎年行われていたそうです。
お酒は飲めるけどやらなかったとか、温泉と海水浴が好きで、仕事の合間をぬって伊豆や伊東に家族旅行に出かけたなど、ご家族だからこそ聞けるエピソードによって、写真と文章でしか分からない荒正人氏が身近に、そして戦前の文壇を引きずらない個人主義に立った人物であったことがわかりました。
1913年1月生まれの荒氏ですが、届けられたのが年明けということで、実際には来年の12月で生誕100年になるそうです。荒氏の年表作成に関わっていたこのみさんは、大学で教鞭をとっていらっしゃるのでお話がお上手でした。来年もう一度お会いしてまた違った角度からお話をお聞きしたいと思いました。
スタッフ・加藤
「西荻文学散歩の会」
杉並在住の作家研究で知られる萩原茂先生(吉祥女子中学・高等学校)や、
「西荻ブックマーク」のスタッフたちを中心にスタートした企画。
西荻窪に住んだ作家や文化人の足跡を一緒に調べたり、取材したりしませんか?
(担当:奥園・加藤)
第56回西荻ブックマーク
2011年11月13日(日)
小沢書店をめぐって
長谷川郁夫×秋葉直哉(聞き手)
長谷川郁夫(はせがわ・いくお)
1947年神奈川県生まれ。大阪芸術大学教授、日本編集者学会会長。早稲田大学在学中に小沢書店を創立。著書に『われ発見せり 書肆ユリイカ・伊達得夫』(書肆山田)、『堀口大學 詩は一生の長い道』 (河出書房新社)他。『美酒と革嚢 第一書房・長谷川巳之吉』(河出書房新社)で芸術選奨文部科学大臣賞、やまなし文学賞受賞。 現在、『新潮』に「吉田健一」を連載中。
秋葉直哉(あきば・なおや)
1981年千葉県生まれ。青山ブックセンター本店を経て、現在、流水書房青山店勤務。ブックフェア「小沢書店の影を求めて」を企画(2011年5月から7月開催)。
開場:15:30/開演:16:00
料金:1500円
定員:30名
要予約
ご来場ありがとうございました!(第55回西荻ブックマーク「古本屋のなりかた教えます」)
よみた屋の澄田氏が2時間たっぷりとお話して下さいました。
澄田氏は高原書店で働いた後、1992年独立。新刊書店をライバルに考えたというのが、他の人とは、一味違うな、と感じました。
中央線一といってもいい広さを誇るよみた屋。
聞き手は同じ高原書店出の広瀬氏で、普段、なかなか聞けないお店の話を小出しに聞けたのが興味深かったです。
委託・再販制度を軽く説明し、ISBNについても分りやすく説明。
それは仕入れだと。
他の古本屋さんも口をすっぱくして私に
「仕入れだよ、仕入れが大事!」
とことあるごとにおっしゃってました。
仕入れでは、どこにでも、コンビニにでもあるような、もより品(日用品)タイプではなく、買いまわり品(デパートの品のようなよそいきのもの)や、専門品(そこにしかないもの)を扱うことが必要、と語られました。
次に同業者。よその古本屋やブックオフなどでの仕入れがこれに該当する。
3つ目が一般客からの買取。出張買取は大量仕入れの可能性があるから、私も積極的に、これはやっていかねば、と肝に銘じる。
ぼんやりとしたイメージが具体的なイメージへと変わっていく。
10坪くらいで古本屋をやろうと思っている人には、まさにぴったりの用例だし、そうでない人は、倍にしたり、半分にしたりすればいい。
一月にどのくらい、稼ぎたいのか。
300,000円だとすると、500円の本を3000冊売って、1,500,000円。
数字で説明されるとクラクラしてくる。
が、自分が飛び込んだ商売は、そういう世界なのだ。
1000円で値付けした本が10冊あるとする。
1年後に、7冊が1000円で売れ、残り3冊はセットで1000円で売れたとしたら、合計8000円の売上。
買取する時、売値を想定して、その金額からいくらか安い金額にするが、値下げしたときのことまで念頭においておかなければいけないのだ。
実際に、いくらで売れるのかということが大事。お客さんは選んで買う。選ばれない本、犠牲になる本もある。
よみた屋では、商品のバーコードをスキャンすると、アマゾンと日本の古本屋の価格が出るように設定しているらしい。
すごい! ほしい!と思ったが、レジさえ、ない古書ますく堂であった。
読んでない本を新刊書店で何故、選べるのかと。
自分の好きな得意な分野だと、読んでない本でも
「これ、面白そうや」
とアタリをつけて買う。
それを得意でないジャンルでもできるようにならなければいけない。
自分の相場観を持つことが大事。
これは将来、価値が、上ってゆくのか、下ってゆくのか。
著者を見ただけで、弟子や師匠は誰か、その本の歴史的な意味づけ、など。
一朝一夕でできることではない。
「え? 欲しいものではないの?」
と思っていたら、更に説明が続く。
人は「何かほしい」と思っている。要はその欲求を刺激することが大事で、商品をいかに見せるかにかかっているのだ。
このあたりはもっとお聞きしたかった部分。
スーパーよりペットボトルの値段が高い自販機。それは自販機だと24時間、すぐに買えるから高めなのだ。
3000円の本があるとする。昔はその本が他の店で、いくらするのか10時間くらいかかって、やっと分るような時代だった。これが取引コスト。
10時間もかかって調べるくらいなら、ここで買おうとなる。それが、今では、ネットですぐに他店の価格が分り、価格競争となる。
15坪の店として、1坪2万円として、家賃が300,000円。
新築の場所だと、内装などを、一からやらないといけないから高くつく。
前に店舗か事務所をやっていた所を借りると、安くつくと助言。
開業した頃の苦労話などは、とても参考になるから、いくらでも聞きたくなる。
自分がセレクトするのではなく、お客さんに勝手に探してもらう。一般から買取し、扱ったことがないものを取り入れ、棚を交通整理しておく。
セレクトショップは一点かぎりのものが殆どで、むしろ減らしてゆくことで、セレクトしてゆくマイナスの論理である。
そして、店主の人格を売るからこそ、他より、高い価値がつく。
澄田氏には古本屋入門書を出版してほしいな、と、改めて思いました。
増田(古書 ますく堂)