
という魚雷さんのお言葉が印象的でした。
「図書館のデータ入力作業は天職だと思った。やっているうちに無の境地になれる。しかも、ノルマを終えた後は本を読み放題」
など、次から次に飛び出す魚雷さん節に会場からもたびたび笑い声が起こります。
どこか遠くに行くのは面倒くさい
という答えが場内の笑いを誘い、2時間のトークは幕を閉じました。
※何故ブックオフだったのかはお考えください。
(スタッフ:塚田)

という魚雷さんのお言葉が印象的でした。
(スタッフ:塚田)
2011年9月25日(日)九月上旬に発売された『本と怠け者』は雑誌「ちくま」 の連載に「震災後日記」他をくわえた文庫オリジナルのエッセイ集です。
今回は巻末解説を書き、先日同じちくま文庫から『女子の古本屋』を出された岡崎武志さんをお迎えし、魚雷×OKATAKEの中央線黄金コンビによる古本談義を堪能していただきます。
荻原魚雷(おぎはら ぎょらい)
1969年三重県生まれ。文筆業。著書『活字と自活』(本の雑誌社)『古本暮らし』(晶文社)など。
岡崎武志(おかざき・たけし)
1957年大阪生まれ。書評家、フリーライター。『女子の古本屋』(ちくま文庫)『あなたより貧乏な人』(メディアファクトリー)など著書多数。okatakeの日記 http://d.hatena.ne.jp/okatake/

『関口良雄さんを憶う』
1978年版
「作家たちが綴る、『昔日の客』の著者の思い出。」
「関口君が死んだ。あれほど度々来てくれたのに、入院中は病院まで来てくれたのにもう一生来てくれることはないのだ。」と、嘆くようにして書く上林暁。「水瓶に花を活けた古本屋が他にもあることを私は知らない。」と清廉な文章で在りし日のことを振り返る野呂邦暢。朝日新聞をはじめ様々なメディアで紹介され、多くの書評家から絶賛された『昔日の客』の著者の思い出を、26人の作家、友人たちが綴ります。編集人は尾崎一雄と山高登。古き良き時代の追悼文集です。
12月12日の午後、JR大森駅の改札前に、夏葉社の島田さんの企画「大森・山王書房の旅」に参加する面々が集まりました。夏葉社さんのツイッター告知で知ったという9名が、この秋に復刊した関口良雄著『昔日の客』(現在2刷)へのそれぞれの思いを携えてやって来ました。
関口良雄さんの御子息・直人さんの案内で、一行はバスに乗って池上通りを進み、〈大田文化の森〉で下車。目指すはそのバス停から数分の場所にある、旧・山王書房です。当時の面影はないですが、かつては夜9時位まで明かりがついていたお店がそこにあったのです。一同、最初から、気持ちがかなり高まります。

そして招かれて入った玄関で一同が見上げた先には、「山王書房」の看板が。さらに感動です。
1階のお部屋に通して頂いたのですが、そこは“良雄さんと山王書房の部屋”。書棚には文章に登場した作家たちの著作がぎっしりと収まっていました。
玄関でにこやかに迎えて下さった故良雄さんの奥様・洋子さんが加わって、「この先がお店になっていて、親父はこう座って…」と直人さんの話が始まり、山王書房での良雄さんの写真など思い出の写真を次々と見せてもらいました。壁には作家から送られた色紙や、
直筆の若山牧水や石川啄木の歌が。半紙に書いたそれらの歌は、表がガラスの箱に入れて後ろからライトを当て、店に飾っていたのだそうです。だいたい一週間に一度は替えて楽しんでいたそうで、それをお店の前を通るバス停や乗り込んだバスの窓から見て楽しんだ人もいたとか。馬込の文士村へ行く人が途中で立ち寄り、店主との会話を楽しんでいたというエピソードなどが、お二人から語られました。そして、最も興奮(感動)したのは、野呂邦暢さんから贈られた著作『海辺の広い庭』を、直人さんが開いて見せてくれた時でした。
そこには青の地に黒く太めの文字で、“昔日の客より感謝をもって”の一文が。
……現在、夏葉社では追悼文集「関口良雄さんを憶う」の復刊作業を進めています。来年のまだ春を迎える前に、私たちは読む事が出来そうです。それを聞いた一同は、期待が膨らんで仕方ありませんでした。
さて、ひとしきりお話を聞いて、お二人の案内で「昔日の客」ゆかりの場所や大森・池上界隈の散策へと出発しました。直人さんの説明を聞きながら、目指すは大田区立の川端龍子記念館。目的は併設の龍子公園(龍子のアトリエとその庭)です。解説付きで龍子が設計・建築した元住居を見学した後に、一同は馬込の住宅街に入り込みます。作家・三島由紀夫邸の前を静かに通り過ぎ、女優・長岡輝子のエピソードを洋子さんから聞きつつ自宅跡を見ながら南馬込方面へ。 “新しい家ばかりになってしまった”と話す洋子さん。起伏のある馬込の坂道を、杖をついてすたすたと歩いていきます。もうじき80歳になられるとは思えないその健脚に一同は驚きながら、桜並木に出て、黒鶴稲荷神社のある高台の等閑森(とうかもり)へ。
直人さんが子どもの頃は、夕方になると大森方面を一望に見渡せる場所としてよく来ていたそうです。今は木々が生い茂ってよく見えません。
さらに休むことなく(!)池上方面へと歩き、表紙の口絵に使われた曙楼跡へと向かいます。かつて賑わっていた当時の面影はありませんでしたが、看板がありました。
日が暮れ始める頃に今度は池上本門寺へ。夕闇の中で文豪や有名人のお墓を教えてもらい、盛り上がりながら抜けていきます。本堂へ出た頃にはあたりはとっぷりと暗くなっていましたが、気にせず向かった先は良雄さんお気に入りの散歩先の一つ、『孤独の橋』です。
散歩に出かける時の良雄さんは、いつでも句を詠めるように筆記用具を携帯していたそうです。
そのお気に入りの橋の下には、当時はなかった都営地下鉄浅草線(終点:西馬込駅)の引き込み線と車庫がありました。鉄道ファンが好きそうなその場所は、良雄さんによってそんな素敵な名前がつけられていたのですね。
ここでまだまだツアーは終わらず、池上梅園公園を通り過ぎて大坊本行寺へと向かいます。このお寺の境内で良雄さんを撮った写真があるということで、思い出の場所なのです。つい数年前に良雄さんが亡くなられたかのように詳しく懐かしそうに話すお二人の様子に、
故人への強い愛情を感じました。
ツアーの最終地は東急池上線池上駅でした。3時間以上の長い散策の最後、洋子さんからの“皆さん、お疲れさまでした”の言葉に、先にこちらがお礼を言うべきなのに…と恐縮してしまいました。
お二人のお陰で本当に楽しいツアーとなりました。私は下調べをほとんどせずに出かけてしまったのですが、当時の街の様子その時代の生活も実際に知らなくとも、お二人の案内で文士村の雰囲気を、そして当時の馬込や池上界隈を実際に体感したかのような錯覚に、一瞬捉われました。帰りの東急線では、ツアーの内容と『昔日の客』を頭の中で繋げて反芻していました。
『昔日の客』を読み返すたびにしみじみと余韻に浸っている読者の皆さん、来年の早いうちに夏葉社さんから素敵な復刊作品が届きます! 楽しみに待つことにいたしましょう。
スタッフ・加藤
展示の一部として『昔日の客』コーナーがあり、新旧二冊の『昔日の客』、関口良雄編集の『上林暁文学書目』、尾崎一雄・上林暁・木山捷平・関口良雄・山高登の五人句集『群島』を見ることができるそうです。
夏葉社から復刊されて話題となっている名著、関口良雄『昔日の客』。
10/23(土)公開の映画『森崎書店の日々』に、オリジナルである三茶書房版『昔日の客』がさりげなく登場しているそうです。
古書の街「神保町」が舞台の『森崎書店の日々』は、古本の匂いが全編に満ちている映画。『昔日の客』がどこでどう使われているのか、神保町シアターで確認してみては? なお、現在、神保町・三茶書房のウィンドウに、散歩する関口良雄さんの姿が描かれた山高登さん作「曙楼旧門跡」の版画が飾られてるとのことです。
第33回西荻ブックマーク「『昔日の客』を読む ~大森・山王書房ものがたり~」で取り上げた幻の名作『昔日の客』の復刊が決定しました!野呂邦暢、上林暁、尾崎一雄、尾崎士郎、三島由紀夫、沢木耕太郎といった作家たちが愛した、東京大森の小さな古本屋。それが、『山王書房』です。店主である関口良雄が綴った、作家たちとの交流と、古本と文学に対するあふれんばかりの愛情は、没後、『昔日の客』という書籍にまとめられ、以後、知る人ぞ知る幻の名著として、長い間、古本好きたちに熱心に探され、そして、愛されてきました。実に、32年ぶりの復刊。心があたたまります。
『昔日の客』と関口良雄の名は、野呂邦暢のエッセイ集『夕暮の緑の光』(みすず書房)、沢木耕太郎のエッセイ集『バーボン・ストリート』(新潮文庫)においても、感動的に綴られています。岡崎武志氏をはじめとする、古本巨匠たちの多くも、本書を絶賛し、復刊を祝福しています。
※『西荻丼』25号記載のタイトル・内容が変更となりました。
会場:今野スタジオマーレ 開場:16:30/開演:17:00 料金:1500円 定員:30名 要予約