ご来場ありがとうございました!(第37回西荻ブックマーク「読むこと・歩くこと・書くこと」)

平出隆×扉野良人

第37回西荻ブックマークでは、平出隆さんと扉野良人さんをゲストにお迎えしました。

お二人はもともと多摩美術大学の教師と生徒の間柄。対談の前半はその当時の回想からはじまり、出逢うきっかけとなった詩学の授業について、共に出掛けた大学主催のヨーロッパ旅行について、お二人にとっての旅することと書くことを巡る姿勢についてなど、ときにユーモアを交えながら語り合っていただきました。とりわけ印象的だったのは、これを師弟対談と名しているが実は師は扉野さんであった、ということ。その証拠に、扉野さんは平出さんに、折にふれて「この本を読むように」と入手した本を進呈されていたそうです。ヨーロッパ旅行の際には、扉野さんがローマの古本屋でエズラ・パウンドの豆本を見つけて平出さんに手渡したことがあったそうで、お二人ともそのことをしみじみ述懐されていたのには類い稀なる美しい師弟関係の一端を見た気がしました。

休憩をはさんだ後半では、現在平出さんが執筆中の新作(『鳥を探しに』12月発刊予定)や扉野さんがゼミ時代に制作した冊子などについて話題が展開し、これからの本の流通のあり方にも言及される刺激的な一幕もありました。また、扉野さんがかねてからたずねたかったという『荒地』の詩人に関する記憶も、平出さんから披露されました。平出さんはその殆どの詩人と相対した機会をお持ちですが、曰く、総じて『荒地』の詩人たちは「投げやり」で「非権威的」であった、と仰ります。扉野さんはじめ客席のみなさまにも特に興味深いお話だったのでは、と感じられました。

しかし、この対談のハイライトは、なんといってもお二人が紡ぎ出す言葉と言葉のあいだに、いくたびも沈黙がおとずれたことではなかったでしょうか。2時間という限られた時間のなかで、ともすれば流れを寸断してしまうはずのこの沈黙は、お二人のあいだではもっとも豊穣な「対話」だったように思えます。例えば大げさに言えば、そこに産み落とされた沈黙とは、偉大なる画家セザンヌが制作のプロセスのなかでキャンバスに出現させた「余白」に匹敵するものですらありました。それを目撃することになった私たちの、なんと幸福であったことか……。

お二人は、師弟の枠をこえ、いずれまたどこかで仕事を共にされることがあるでしょう。今回の西荻ブックマークは、その貴重な仕事の誕生を予感させるに十分なものだったように思います。
最後に、平出隆さん、扉野良人さんのゲストのお二人、ご来場くださった方々、スタッフの方々、その他関係してくださったすべてのみなさま、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

スタッフ:鹿角


nbm第36-40回チラシ

flyer_nbm_36-40

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デザイン・イラスト:デザインコンビ http://design-combi.com/

配付場所:

book_mini古書 音羽館 西荻北
book_mini信愛書店 西荻南
book_mini高円寺書林 高円寺
book_mini高円寺文庫センター 高円寺
book_mini今野書店 西荻北
book_mini興居島屋 西荻北
book_miniにわとり文庫 西荻南
book_mini旅の本屋のまど 西荻北
book_mini雨と休日 西荻南
book_mini三人灯 西荻南
book_miniクワランカ カフェ 西荻北
book_mini三月の羊 西荻北
book_mini盛林堂書房 西荻南
book_mini豆千代 西荻北
book_miniGORIZO 西荻北
book_miniぷあん 西荻北
book_miniフィットホームズ西荻窪 西荻北
book_miniALICECAFE 西荻南
book_miniFALL 西荻北
book_mini茶舗あすか
(西荻まちメディア西荻窪駅前案内所)
西荻北

book_miniBASARA BOOKS 吉祥寺
book_mini古書ほうろう 千駄木
book_miniポラン書房 大泉学園
book_mini古本すうさい堂 吉祥寺
book_mini古本屋さんかく 吉祥寺
book_mini百年 吉祥寺
book_mini古本よみた屋 吉祥寺
book_miniトムズボックス 吉祥寺
book_mini東京古書会館 御茶ノ水
book_miniポスターハリスギャラリー 渋谷

ほか


西荻ブックマークご出演者がコラボ(駕籠真太郎×霞流一)

第16回にご出演いただいた奇想漫画家・駕籠真太郎さんが著書『フラクション』の中で、
バカミス(バカミステリー)作家・霞流一さん(第7回ご出演)と対談をされています。
駕籠さんの回でおふたりが出会い、意気投合したのがきっかけとなりました。

駕籠真太郎 『フラクション』
コアマガジン
定価1,575円(税込)
ISBN 978-4-86252-718-9
発売日:2009/11/7

奇想漫画家・駕籠真太郎さんの新境地とも言える作品です。

実験的な作品を発表し、漫画の常識を破ってきた駕籠さんですが、
本作は「奇想」プラスアルファの読み応えがあり、
駕籠さんの守備範囲の広さを見せつけられるトリックまでも、
ちりばめられています。

これだけでも「お腹いっぱい」の巨編であるにもかかわらず、
本書の中ほどでの霞流一さんとの対談「漫画とミステリー」では、
奇想漫画家とバカミス作家の意外な(?!)共通点が垣間見られます。

駕籠真太郎HP「印度で乱数」
http://www1.odn.ne.jp/~adc52520/

■第16回 「奇想漫画家駕籠真太郎的密談」
http://nishiogi-bookmark.org/2007/nbm16report/

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第37回西荻ブックマーク

2009年11月15日(日)
第37回西荻ブックマーク

「読むこと・歩くこと・書くこと」
平出隆×扉野良人師弟対談

会場:今野スタジオマーレ
開場16:30/開演17:00
料金:1500円(会場でお支払い下さい)

定員25名 要予約

満員御礼!!
ご予約人数が定員に達しましたのでご予約受付を締め切りました。

多摩美術大学芸術学科で教鞭をとられている詩人・作家の平出隆さんと、そのゼミのご出身で僧侶・エッセイストの扉野良人さん。

例えば平出さんが「海の背広」という短編で、川崎長太郎から譲り受けた背広をヨーロッパへの旅に持ち出す様子を描けば、扉野さんは「ぼくは背広で旅をしない」というエッセイで、石川啄木や萩原朔太郎の詩歌から背広を着て旅に出かける一節を紹介しつつ“旅に対する時代感覚”の違いを表す―――書かれたときは異なれど、「旅」と「背広」についてわざわざ思いを巡らせて書く、しかもタイトルに記す、というお二人の感性は、師弟関係であること以上の何かを物語っているのでは、と楽しく想像力を刺激してくれます。

「詩と散文」「パサージュ」など、そのほか共有されているキーワードや固有名も引き合いとしながら、ゆるやかに語り合っていただく2時間です。


平出隆(ひらいで・たかし)
1950年、福岡生まれ。著書に、詩集『胡桃の戦意のために』(思潮社:芸術選奨文部大臣新人賞)、『左手日記例言』(白水社:読売文学賞)、散文集『ベルリンの瞬間』(集英社:紀行文学大賞)、小説『猫の客』(河出書房新社:木山捷平文学賞)など、受賞作多数。また、『伊良子清白』(新潮社:芸術選奨文部科学大臣賞)や『伊良子清白全集』(岩波書店)編纂などによる全業績で藤村記念歴程賞を受賞する一方、三重県鳥羽市に7月に開館した「漂泊の詩人 伊良子清白の家」の展示設計にも深く関わるなど、近年も伊良子清白に関する仕事で活躍中。


扉野良人(とびらの・よしひと)
1971年、京都市生まれ。94年、多摩美術大学芸術学科にて平出隆ゼミで学ぶ。95年、卒業と同時、京都の生家の寺へ戻り僧侶として現在に至る。『sumus』『modernjuice』『CABIN』などへの寄稿をまとめた初のエッセイ集『ボマルツォのどんぐり』(晶文社)を2008年に上梓。モダニズム探求誌『Donogo-o-Tonka ドノゴトンカ』(りいぶる・とふん)を編集・発行。また2009年6月刊行の季村敏夫との共編著『Love is 永田助太郎と戦争と音楽』(震災・まちのアーカイブ)は、戦争前夜の昭和十年代に活躍したモダニズム詩人、永田助太郎の詩群を現在に問う試みとして編まれた。


GALLERY みずのそら「水の手紙/空の余白」

第12回第1部「はじめての豆本づくり」ワークショップ、また、第28回「超短編の世界」にもご出演をいただいた赤井都さんのグループ展+豆本ワークショップが、西荻の「GALLERY みずのそら」で開催されます。

「 水の手紙/ 空の余白 」

赤井都 アナナプレス 阿部真弓 尾田美樹 海岸印刷

活版印刷の魅力に惹かれ、作品の一部に活字・活版を
取り入れる作家が、少しずつ増えています。

本展示会では、活版を通じて知り合った5組7人が、
豆本、手製本、版画、短歌など、それぞれのアプローチで、
「文字」や「本」にまつわるファインプレス作品を展示します。

会場では、全員が参加するポストカードサイズの作品集
(作品5枚、オリジナルケース入り)を、50部限定で販売。

カフェコーナーでは企画にちなみ、
各自の作業部屋や本棚の一部を公開します。
作品と見比べながら、お楽しみ下さい。

また、期間中に、赤井都による豆本ワークショップがあります。

2009年11月7日(土)~11月29日(日)
12:00~19:00(最終日~18:00)
月、火休 ※23日(祝)は営業

GALLERY みずのそら
西荻北5-25-2 ※駅より徒歩10分
Tel/Fax:03-3390-7590
http://www.mizunosora.com/