森開社40周年記念展

L'ÉVOCATION Ⅲ 佛蘭西小浪漫派特輯フランス象徴派や日本のモダニズム詩人の作品集を小部数刊行してきたプライベートプレス「森開社」の40周年記念展覧会のお知らせです。

森開社40周年記念展

森開社の1973年からの全刊行物と関連図書、原書、原稿の一部等を展示、森開社刊行書の頒布を予定

2月27日(土)-3月5日(金)
※2月27日6時30分よりオープニング・パーテイ

会場:名曲喫茶「ミニヨン」(荻窪)ギャラリー
名曲喫茶ミニヨン

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【2/14追記】
森開社展覧会案内状はモンテスキュウ『カランドリエ』書影と『左川ちか全詩集』書影の2種類。
西荻では音羽館、にわとり文庫、信愛書店、盛林堂書房に委託とのこと。


ご来場ありがとうございました!(第39回西荻ブックマーク「私は古本ストーカー」)

第39回はご存知「なないろ文庫ふしぎ堂」店主であり、
『彷書月刊』編集長でもある田村七痴庵さんと映画『私は猫ストーカー』
原作で有名なイラストレーターの浅生ハルミンさんの異色対談でした。
このコンビじつはかつて店主とアルバイトという関係でありまして、
このたび師弟対談が実現する運びとなりました。

当日の会場、スタジオ・マーレは超満員。顔なじみの古書店主、ライター、
編集者の顔もちらほらお見かけいたします。お二人の気楽な話しぶりから
時折繰りだされる意味深な発言に会場は大いに沸きました。

また会場ではハルミンさんの書籍のほか、
ちょうどタイムリーに刊行された2冊の雑誌も販売されました。

  • 『彷書月刊』2月号の田村さんの特集号
  • 『雲遊天下』101号(復刊号) 特集・雑誌のゆくえ (田村さんインタビュー収録)

これは現在も発売中ですのでぜひお手に取ってご覧ください。

それでは岡崎武志さんのブログに当日のレポートがあります。
お借りしましたので、会場の雰囲気を味わってください。

スタッフ:広瀬

ハルミンさんは「なないろ」バイトの「志願兵だった」。つまり、お金より、古本屋そのものに興味があり、自分から手を挙げて「なないろ」に店番をした。「バイト料は安かったけど」(田村)「そんなことはないです」(ハルミン)。田村さんは人手に困ると、「美学校」へ、ブラブラしている若者を探しに行ったようだ。そこでハルミンさんが拾われる。ハルミンさんは3年ほど、週に一日、「なないろ」のバイトをするが、「私は本当に丸腰だった」(古本のことは何も知らない、の意)。この「志願兵」だの「丸腰」という表現がおもしろい。古本屋に対する熱、意気込みを感じる。

当時の田村さん。まだ三十代だが、ハルミンさんの目に映ったのは、腰まで長い髪を伸ばし、田村さん以外は誰も着ないような服に身を包んでいた。それがかっこ良かった。店番をしていると、田村さんは「それじゃあ、頼むわ」と言って外出していくのだが、外で何をしているのかがまったくわからなかったという。

田村さんが謎なら、客も謎だらけで、いつもエロ本をずっと見て帰っていくおじいさんがいた。松本清張みたいな唇のじいさんで、長時間女性の裸を見ていると、次第に耳が赤く染まっていくのをハルミンさんは見逃さなかった。バイトの先輩・タカクラくんによると「あのじいさんは、○○に住んでいて、エロ本のコレクターだよ」。「なんで、タカクラがそんなこと知ってんだ!」と田村さん。

相撲取りになれと言われる程身体の大きな小学生がいた(「私は古本ストーカー」のチラシで、電話の下でしゃがんでいるコドモ)。小三のタケオは店内に貼った上半身裸の舞踏のポスターに映ったオトコの脇毛を指差し「これ、何て言うの?」と、ハルミンさんにしつこく「脇毛」と言わせたがった。

田村さん曰く、歴代のバイトで便所掃除をすすんでしたのはたった二人(田村さんはせよ、と言わない)。するとハルミンさんが「そのうちの一人は、当時つきあっていた私の彼氏です」と言った。ハルミンさんが急きょバイトを休む用ができて、彼氏が代わって「なないろ」へ。この彼氏がまことに几帳面、綺麗好きな男で、便所を見るにみかねて掃除した。

「なないろ」に古本を持ちこむ常連にKとTがいたが、Kはプロで、いい本を拾って、ちゃんと仕分けして、いちばん高く買う古本屋へ持ち込む。SM雑誌でもある程度の量が必要で、それを駅前のコインロッカーを倉庫替わりにして溜め込んでいた。ハルミンさんはこのKさんから寒い日に暖かい缶コーヒーをもらったことがある。ハルミンさんがKさんに、どこで本を拾ってくるのか、と聞いたことがある。Kさん曰く「あのね、内幸町と日比谷あたりがいいよ」。行動範囲の広さがすごい。田村さんは毎年、このKさんから年賀状をもらっていた。しかし、宿無しなので、住所はなく名前だけ。

田村さんは「三宿の江口書店こそ古本屋のなかの古本屋だ」と言っていた。ハルミンさんも江口書店が好きで、看板の「雑本」という文字に引かれていた。まさしく江口は雑本の店だった。とびきりいいことば、かっこいいことばとして「雑本」を意識していたが、友人に江口書店のことを説明するとき、「雑本の店で」と言うと、友だちが「ええっ、雑本なんて言うの、ひどいよ」と反応があり,逆に驚いたのだ。田村さんは言う。「雑草という草はないが、雑本という本はたしかにあるんだ」

江口さんは最後、失禁しながらも店番を続けていた。おしっこもらしながらも古本屋の店番をする江口さんに田村さんは感動する。つまり最後まで「古本屋」だった。

ハルミンさんに原稿を依頼したのが田村さんで、ハルミンさんはまだ何ものでもない私に依頼するなんて、その勇気におどろいたという。ただ、現在「にわとり文庫」に嫁入りした西村博子さんと二人で、「特急電車で家出」というミニコミを作っていて、それを田村さんに見せていたらしい。

「彷書月刊」つげ義春特集号(1991年)に書いた「古書談義 古本屋さん」だが、ここにナゴヤの古本屋で教わった、下郷羊雄がサボテンばかりを撮ったシュールリアリズム写真集『メセム属』について書いた。まだ二十代の女の子が、『メセム属』について書くなんて、とここで田村さんが驚く。

田村さんは「なないろ」の二階の四畳半を倉庫兼住居にしていたが、ガス台以外、電化製品はなにもなかった。ハルミンさんは、じつは田村さんがルスのとき、こっそりこの二階を覗いている。「部屋中、本が積み上げてあって、あんなに高く本が積めるものだと感心した。部屋のまんなかにぺったんこになった蒲団が敷いてあって、小さな窓から光がさしこんでいた。小さな机の上には、かきかけの目録用原稿が置いてあった」と描写する。

このほか、まだまだ面白い話が続くのだが、最後に田村さんが吐いた名言。田村さんの住むマンションのゴミ捨て場に、ある日、リボンのかかった遺影や「忌中」という紙や葬式写真など、葬式に使う一切のものが捨ててあった。マンションの管理人は「こんなものを捨てて」と怒ったが、古本屋の田村さんとしては、一瞬「俺がもらおうかな」と思ったという。そのあとにこう言った。

「古本屋ってのは奈落と直結した商売なんだ」

――私は古本ストーカー – okatakeの日記


『sumus』13 まるごと一冊晶文社特集

sumus 13
まるごと一冊晶文社特集

編集人 林哲夫
発行人 山本善行
発行 スムース
発売 みずのわ出版
2009年2月8日頃出来予定
四六変形判200頁
●本体価格1500円 税込み1575円
ISBN978-4-944173-76-1 C0095
■装幀 林哲夫

古書音羽館店頭でも『sumus』13号を販売中。売切中!!(2/8)追加納品!!(2/10)
『sumus』13号発刊記念「勝手に晶文社50年」ミニ特集も!
また晶文社本の買取りも積極的に行っているそうです。
『sumus』13号発刊をきっかけとして、
Twitter上でも「晶文社本Twitterアンケート」が展開されています。
ハッシュタグは #shobunsha 。
http://twitter.com/#search?q=%23shobunsha

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西荻丼第23号「どんぶりのふた」掲載日付訂正

西荻丼第23号「どんぶりのふた」掲載の第40回西荻ブックマークの日付が誤っておりました。
正しくは3/20(土)の開催となります。
訂正してお詫び申し上げます。

西荻丼vol.23毎日がちょっとだけ豊かになるタウンペーパー
『西荻丼』
vol.23(2010年1月)、配布中です!

特集
西荻ニューカマーズ!
店主のみなさん、よくぞ西荻で新しいお店を構えて下さいました!西荻通の丼スタッフが愛をこめて、ここ2~3年でオープンしたオススメのお店を紹介します。

西荻年の差インタビュー
「アロマフレッシュ」の安藤さん2~青春篇

明治大正へタイムスリップ!
西荻北・謎のロータリーと一色さんのお話

西荻ナイトすけっち
第2回「西荻ガレージセール場」

西荻父の育児日記/ニシオギブンゲイ


第39回西荻ブックマーク、満員御礼となりました!

今週末、1月31日(日)の

第39回西荻ブックマーク
「私は古本ストーカー 田村七痴庵独演会 Part3 ~彷書月刊編集長と浅生ハルミンの奇妙な関係~」、

ご予約が定員に達しましたので、ご予約の受付を締め切らせていただきます。
たくさんのご予約をどうもありがとうございました。

なお、キャンセル待ちでの参加予約をご希望の方は、予約メールフォームより、
その旨をお書き添えの上、ご送信ください。

ご予約のみなさま、イベント当日、スタジオマーレにてお待ちしています。

※田村治芳さん特集「ボロをつむぐ 勝手ながら七痴庵戯文録」の
『彷書月刊』最新号(2010年2月号)、発売中です!