ご来場ありがとうございました!(第81回西荻ブックマーク 『古本屋になろう!』 アフターアワーズ ~「古ツア」さんと共に語る~)

第81回西荻ブックマーク
吉祥寺の古本屋「よみた屋」さんが『古本屋になろう』という本をつい先日刊行され、その出版記念のトークとして、よみた屋さんと更にはゲストとして古本屋ツアー・イン。ジャパンこと小山力也さんをお迎えしてブックマークでお話しをして頂いた。
この書名からまずは説明をして頂く。古本屋になりたい人がどうやったら経営できるかという本である。古本屋の入門書としては志多三郎『街の古本屋入門』や『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(北尾トロ)などがあるが、精神的なものが多い。古本屋はこんなにしんどい商売であるなど古本屋の日常に関して主観的に書かれたものが多い。
一方、よみた屋さんの本は古本屋の仕事を物理学的、経営学的観点から捉えた入門書である。他の店主さんたちはこの本に書いてあるようなことまでやってないと言われることが多いという。だが、本当は皆、やっているのだ。全部をやっている人は少ないにしてもある程度まではやっている、それも無意識に。その無意識にやっている作業を言語化して書籍にしたのが今回の『古本屋になろう』なのだ。どれかは自然にできる。その自然にできない部分を参考にしてもらえればとおっしゃるよみた屋さんにはこの本の中級編というか続編をぜひお願いしたい。

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第81回西荻ブックマーク

nbm81『古本屋になろう!』 アフターアワーズ
~「古ツア」さんと共に語る~

日時: 10月12日(日)17:00~19:30 (開場16:30)
場所: ビリヤード山崎2F 杉並区西荻北3-19-6
料金: 1500円  定員40名
※10月11日(土)の第80回西荻ブックマークからの連続参加で割引料金に!!
3000円→2000円
出演: 澄田喜広、小山力也
この夏、吉祥寺の古本屋「よみた屋」の店主、澄田さんが待望の古本屋入門の本を出されました。これを記念し、今回の西荻ブックマークでは、本では語られなかったこぼれ話をざっくばらんに話していただきます。また『古本屋ツアー・イン・ジャパン』の著者の「古ツア」=小山さんもお招きします! 果たしてよみた屋さんが磨いた古本屋になるための理論に「古ツア」さんはどう挑むのか? まことに興味の尽きない異種格闘技戦?かもしれません。

プロフィール

澄田喜広(すみだ・よしひろ)
1963年生まれ。和光大学卒業。1984年に学生アルバイトとして高原書店に入社。8年勤めて独立、東京・西荻窪でよみた屋を開業した。のちに吉祥寺に移転して現在に至る。東京古書組合主催の「古本屋になるには」一日講座で何度も講師を務めている。
http://www.yomitaya.co.jp/


小山力也(こやま・りきや)

神奈川県生まれ。古本屋ツーリスト。誰に頼まれたわけでもないのに、2008年から自主的古本屋調査を始め、北海道から沖縄まで1500軒以上を訪問してきた。その日々を記したブログは広く支持されつつ更新中である。2013年、ついに『古本屋ツアー・イン・ジャパン』が原書房より刊行。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

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ご来場ありがとうございました!(第55回西荻ブックマーク「古本屋のなりかた教えます」)

第55回西荻ブックマーク

第55回西荻ブックマーク「古本屋のなりかた教えます」
よみた屋の澄田氏が2時間たっぷりとお話して下さいました。
会場は約60人がひしめく賑わいで、しかも都内だけではなく、千葉・埼玉・神奈川と、近隣の県からもご来場頂き、古本屋をやろうという人たちの意気込みが感じられました。
澄田氏は高原書店で働いた後、1992年独立。新刊書店をライバルに考えたというのが、他の人とは、一味違うな、と感じました。
西荻でまず、開業し、現在の吉祥寺へ。
中央線一といってもいい広さを誇るよみた屋。
聞き手は同じ高原書店出の広瀬氏で、普段、なかなか聞けないお店の話を小出しに聞けたのが興味深かったです。
古本屋にとって、新刊が売れなければ、古本にはならないということで、まずはざっと、新刊書店の流通の仕組みから説明していく。
委託・再販制度を軽く説明し、ISBNについても分りやすく説明。
次に古本屋にとって、何が一番重要かといきなり、核心をついたお話をされました。
それは仕入れだと。
他の古本屋さんも口をすっぱくして私に
「仕入れだよ、仕入れが大事!」
とことあるごとにおっしゃってました。
仕入れでは、どこにでも、コンビニにでもあるような、もより品(日用品)タイプではなく、買いまわり品(デパートの品のようなよそいきのもの)や、専門品(そこにしかないもの)を扱うことが必要、と語られました。
仕入れのパターンとしては、まず古書組合の市場(交換会)。
次に同業者。よその古本屋やブックオフなどでの仕入れがこれに該当する。
3つ目が一般客からの買取。出張買取は大量仕入れの可能性があるから、私も積極的に、これはやっていかねば、と肝に銘じる。
一坪1,000冊置くとして、10坪だと10000冊。その冊数で、ひと月3000冊を売るのは難しい、と、具体的に数字を用いて、説明してくれるのがありがたい。
ぼんやりとしたイメージが具体的なイメージへと変わっていく。
10坪くらいで古本屋をやろうと思っている人には、まさにぴったりの用例だし、そうでない人は、倍にしたり、半分にしたりすればいい。
売上の2割を利益だとする。そう、売上全てが、自分の収入になればいいが、家賃・人件費・光熱費・仕入れ代などの経費を全部引いて、残るのが利益。
一月にどのくらい、稼ぎたいのか。
300,000円だとすると、500円の本を3000冊売って、1,500,000円。
数字で説明されるとクラクラしてくる。
が、自分が飛び込んだ商売は、そういう世界なのだ。
買取の値段についても具体例で説明してくださいました。
1000円で値付けした本が10冊あるとする。
1年後に、7冊が1000円で売れ、残り3冊はセットで1000円で売れたとしたら、合計8000円の売上。
買取する時、売値を想定して、その金額からいくらか安い金額にするが、値下げしたときのことまで念頭においておかなければいけないのだ。
実際に、いくらで売れるのかということが大事。お客さんは選んで買う。選ばれない本、犠牲になる本もある。
よみた屋では、商品のバーコードをスキャンすると、アマゾンと日本の古本屋の価格が出るように設定しているらしい。
すごい! ほしい!と思ったが、レジさえ、ない古書ますく堂であった。
メタメッセージについても勉強になりました。
読んでない本を新刊書店で何故、選べるのかと。
自分の好きな得意な分野だと、読んでない本でも
「これ、面白そうや」
とアタリをつけて買う。
それを得意でないジャンルでもできるようにならなければいけない。
自分の相場観を持つことが大事。
これは将来、価値が、上ってゆくのか、下ってゆくのか。
著者を見ただけで、弟子や師匠は誰か、その本の歴史的な意味づけ、など。
一朝一夕でできることではない。
販売とはいらないものを、欲しがらせることと言われ、
「え? 欲しいものではないの?」
と思っていたら、更に説明が続く。
人は「何かほしい」と思っている。要はその欲求を刺激することが大事で、商品をいかに見せるかにかかっているのだ。
このあたりはもっとお聞きしたかった部分。
取引コストという聞きなれない言葉も以下の説明で、すとーんと納得できる。
スーパーよりペットボトルの値段が高い自販機。それは自販機だと24時間、すぐに買えるから高めなのだ。
3000円の本があるとする。昔はその本が他の店で、いくらするのか10時間くらいかかって、やっと分るような時代だった。これが取引コスト。
10時間もかかって調べるくらいなら、ここで買おうとなる。それが、今では、ネットですぐに他店の価格が分り、価格競争となる。
今から古本屋をやろうとしている人たちに、これまた為になる話をされた。
15坪の店として、1坪2万円として、家賃が300,000円。
新築の場所だと、内装などを、一からやらないといけないから高くつく。
前に店舗か事務所をやっていた所を借りると、安くつくと助言。
開業した頃の苦労話などは、とても参考になるから、いくらでも聞きたくなる。
会場からの質問では、新規開業資金はいくらかかったかといった質問や、電子書籍にたいしての質問が飛び交う。
やぶれかぶれの古書ますく堂も前に来いといわれ、本の値づけがわからないと質問する。知らない本だと値段がさっぱりわからず、ネットで検索すると、自信がないからすぐ、ぶれてしまうのだ。そういう意味でも自分の相場観を持つことが大事なのだな、と思いました。
このトークが始まる前に、澄田氏にセレクトショップではなく、澄田氏の提案する発展型書店でやるにはどうすればいいのか、と質問をしました。
自分がセレクトするのではなく、お客さんに勝手に探してもらう。一般から買取し、扱ったことがないものを取り入れ、棚を交通整理しておく。
セレクトショップは一点かぎりのものが殆どで、むしろ減らしてゆくことで、セレクトしてゆくマイナスの論理である。
そして、店主の人格を売るからこそ、他より、高い価値がつく。
澄田氏には古本屋入門書を出版してほしいな、と、改めて思いました。

増田(古書 ますく堂)


第55回西荻ブックマーク

2011年10月23日(日)
古本屋のなりかた教えます
~シリーズ古本屋に聞く~ 第1回
出演:澄田喜広(よみた屋店主)

会場:ビリヤード山崎2階
開場:16:30/開演:17:00
料金:1500円
定員:50名
要予約

古書組合の「なるには講座」でも人気の高い吉祥寺「よみた屋」。下北沢「ほん吉」さん達を輩出した店主が自店での豊富な経験を踏まえ、具体的な数字を駆使して古本屋開業のノウハウを語りつくします。くわえて高原書店の修業時代から吉祥寺の人気店になるまでのお話なども…開業希望の方はもちろん、古本屋回りをこよなく愛する方々にも必聴です。

【聞き手】広瀬洋一(古書音羽館)

高原書店の先輩でもある澄田さんですが、
小さな店のわたしとは随分違ったやり方で
ご商売をされていると思います。
戦略的な思考で事にあたってきた澄田さんから
自分も有益なお話をお聞きしたいし、
なんでも行き当たりばったりでやってきた自分との
違いが浮き彫りになればおもしろいでしょう。
二人で「就職しないで生きる」方法を探りたいと思います。