≪嵐を呼ぶ善行さん≫
台風17号とともに上京されたとも言える、善行堂の山本善行さんと岡崎武志さんのトーク。こんな悪天候にも拘わらず、約70人もこけし屋にお集まり頂きました。お二人は高校の同級生ということもあり、のっけからトークは順調に滑らかに進んでいき、たまに司会の広瀬が質問をはさむという感じでした。
まず高校時代の出会いの話から善行堂を始めるまでの経緯が語られ、学生服で長髪!の岡崎さん、山本さんの貴重な写真が投影され場内騒然!
また、大阪の大学なのに何故か京都に下宿して通ったという山本さん、古本とジャズ喫茶三昧で、お金がなくなれば、二人でライオンの歯磨き製品をスーパーで売るという日々だったそうで、あの話術はこの頃に培われたんでしょう。このお二人に「こうてぇな」と言われたら、しゃあないな、買っとくかという気分になりそうです。しかも売上成績は上々で上司から時給を聞かれ、少なすぎるといわれたとか・・・(笑)
岡崎さんは高校の教員を経て上京、ライターに。一方、山本さんも教育畑。塾講師をされていたが、近くに1年間授業料を無料にするというライバル塾の進出で、2009年3月に辞めることを決意。そこから開店までの3ヶ月が一番しんどかったという。物件を探せど探せどいいものがみつからない。そしていつの間にか足は古本屋へ向いている(笑)。ようやく見つけたのはなんと元タコ焼き屋!天井のペンキ塗りだけは業者に任せて、階段などはご自分で塗装されたとのこと。本がが2階にあるのに、上から塗っていって、取りにいけなくなったとか・・・会場が絶えず笑いに包まれていました。
岡崎さんによると善行堂の本棚が、まるで善行さんの部屋の本棚の様だったので、ちょっと部屋にいるような気がしたというお話は、このお二人の付き合いの長さ、仲のよさが垣間見えました。また開店初日、数人が外で並んでいたという善行堂、まだ本の値付けがほとんど終わっていなかったとは驚きました。
善行堂を支える常連客や面白いお客さんのお話もしてくださいました。ブログでもよくでてくるマサキングさんはほんと、すごいですよね。一年に900冊も買ったそうです!またそれだけいい本を常に在庫している善行堂のすごさというのがひしひしと伝わってきました。
後半では夏葉社の島田さんにもちょっとお話を伺いながら、島田さんと山本さんの知り合うきっかけにも話が進みました。島田さんが『レンブラントの帽子』の営業をしていて、どこの書店でも苦戦していた頃、知り合いが善行堂なら置いてくれるよということで、初めて行ったら定休日。しかし、諦めずに翌日も善行堂に行き、そこから島田さんと山本さんがつながっていったそうです。
上林暁氏のお孫さん、関口良雄さんの奥様、子息の直人さんもお見えの中、話は『昔日の客』へと進んでいきました。布ばりの表紙で書店がどちらかというと、敬遠したくなるような装丁だけど、返品ありきの本は作りたくなかったという話にいたく感動。また『昔日の客』がまだ夏葉社からでる前、元版を持っている知り合いに山本さんが何度も「あれ、貸して」と借りて読んでいたという話もいい話です。本のつながり、人のつながりって素直にすごいと思わせます。なにかあると上林の本を読みたくなるという山本さん。そういう作家が一人でもいるのはとても尊いことに思えました。
参加されたお客様には、山本善行さんの似顔絵入り(もちろん岡崎画伯による)古本◎御守が配られました。その御守りの裏には番号がついていて、岡崎さんと山本さんが読み上げられた番号の人には、善行堂セレクトの本がプレゼントされました。更には、そのお守りをもっていけば、音羽館、善行堂の均一で1冊サービス(12月まで)してもらえるそうです!
本好きな人たちが集まってくれて、とても貴重な嬉しい一日でした。
(ますく堂 増田)