ご来場ありがとうございました!(第34回西荻ブックマーク「ガルボのように 1920-30年代東京・モダンガールとしての尾崎翠」)

『KAWADE道の手帖 尾崎翠 モダンガアルの偏愛』『第七官界彷徨』の二冊の刊行記念イベントとして開催された第34回西荻ブックマークは、尾崎翠が東京で作家活動をしていた1920-30年代に焦点をあて、「モダンガール」としての尾崎翠を、その時代の音楽・映画・海外文学の受容など様々な角度から浮かび上がらせるという試みでした。


2525稼業

第一部はachacoとsaraの歌のユニット2525稼業のライヴ演奏。キャンディー・カラーの色違いのサンダル、胸には大きな蘭の花を付けて真っ白な衣装に身を包んだお揃いのコスチュームが何とも可愛らしい! 作詞作曲を手がける高橋裕氏のアコースティックギターにのせて二人の透明感のある唄声が会場一杯に響き渡ります。今回は特別に創樹社版の全集月報に掲載されている『歩行』の詩をアレンジした曲や小野町子にちなんだ『小町』、樋口一葉の『にごりえ』など翠文学を想起させる曲の数々を聞かせてくれました。また、『東京行進曲』をはじめ、二村定一やエノケンのメドレーなど、尾崎翠もきっと口ずさんだであろうモダン都市・東京の流行歌を、懐古調ではなく斬新なアレンジとたのしい楽器とで現代のポップスとして甦らせる手腕は2525稼業ならではのもの。会場からは大きな拍手が贈られていました。


第2部

第二部は西荻ブックマークのスタッフでもあり今回の企画を担当した木村カナさん、第一部で素敵な唄声を披露したachacoこと平山亜佐子さん(戦前不良少女研究家という肩書きも!)、アメリカ文化を専門に翻訳・批評・演劇など幅広い分野で活躍されている小澤英実さんによるトークセッション。

The Modern Girl Around the World

まず、話題は「モダンガール」という言葉をおさらいするところから始められました。日本において最初にこの言葉を使ったという北澤長梧(秀一)「モダン・ガールの表現――日本の妹に送る手紙」を木村さんが紹介するとともに、小澤さんと平山さんが補足として同時代的に発生した「モダンガール」という現象をゼルダ・フィッツジェラルドやクララ・ボウなどの例を挙げながら言及されていました。政治的でアクティヴィストとしてのNew Womenとファッションや性的魅力(=イット)に重きを置くModern Girlの違いについての小澤さんの話が印象的で、紹介されていた”The Modern Girl Around the World”という本もかなり気になります。

モガモボ狩り新聞記事

また、断髪洋装の「モダンガール」が略語の「モガ」になるとネガティヴなイメージで語られるという話も。その一例として平山さんが挙げられたのは、当時の新聞記事の見出しで「モガ」=「不良」という図式が読み取れるというもの。クロシェ帽を目深に被ったモダンガール・尾崎翠が不良モガ「ガルボのお政」と新宿武蔵野館という同じ空間で映画を楽しんでいたかもしれない、という空想は私たちをわくわくさせてくれるに十分です。

尾崎翠スライドグレタ・ガルボ/長谷川泰子スライド

そして、今回のイベント名にもなっているキーワード、グレタ・ガルボについての話題もありました。代表作『第七官界彷徨』を執筆していたころの尾崎翠は、グレタ・ガルボを気どって黒い洋装をし、断髪した赤いちぢれ毛で肩を怒らせて闊歩していた、文字通りのモダンガールだったという大田洋子の回想を紹介。また、同じ頃、中原中也と小林秀雄の恋人で「グレタ・ガルボに似た女」と呼ばれた女優・長谷川泰子についても写真とともに紹介され、同時代のモダンガールとしての二人の対比も興味深いものでした。

海外文化の安易な模倣が巷に溢れ、それを享楽のうちに受容していたモダン都市・東京。1920-30年代の東京で花開いたモダン都市文化の模倣をめぐる狂躁ぶりは、現代から考えるといくぶん滑稽にさえ思えますが、尾崎翠に「私の生涯には、ひとつの模倣が偉きい力となつてはたらいていはしないであらうか」と呟かせたのは、まぎれもなくこの時代の空気であったのではないでしょうか。

m.k.


『冬の兵士』日本語版書籍(岩波書店)出版記念上映会&終戦の日イベント

『冬の兵士』出版記念上映会

『冬の兵士』日本語版書籍(岩波書店)出版記念上映会
&終戦の日イベント
■兵士が語る戦争■


イラクに派兵されたアメリカ軍帰還兵が自らの体験を証言
占領の実態を生々しく語るドキュメンタリー
映画「冬の兵士・良心の告発」

OFFCIAL WEB SITE
http://wintersoldier.web.fc2.com/

8月6日に「冬の兵士」の証言を記録した本が岩波書店より出版されます。
その記念上映会が渋谷アップリンクで行われます。

日時:8月12日(水)~15日(土)
19時開場/19時半~ 記念講演/20時~ 「冬の兵士」上映
料金:¥1,500(1ドリンク付き/メール予約できます)
会場:渋谷「UPLINK FACTORY(アップリンク・ファクトリー)」
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階(Bunkamuraより徒歩3分)
tel.03-6825-5502
factory@uplink.co.jp
http://www.uplink.co.jp/

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日本物怪観光 第七回 お化け物産展

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日本物怪観光 第七回 お化け物産展DM

第七回 お化け物産展

天野行雄(日本物怪観光)

毎年恒例となりました谷中イリアスでのお化け物産展が、今年も開催されます。
豆化けの新作やお化けカード、缶バッチなどのJMT(日本物怪観光)グッズを多数販売致します。
皆様、谷根千散策のついでにぶらりとお立ち寄り下さいませ。

http://www.mononokekanko.com/

2009/8/6(木)~8/25(火)

※最終日は15時まで

古今東西雑貨店 イリアス

〒110-0001
東京都台東区谷中2-9-12 川田ビル1F-B
TEL/FAX:03-3827-2722
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日
JR/京成電鉄「日暮里駅」より徒歩12分
東京メトロ千代田線「千駄木駅」より徒歩3分
http://www.big-o.co.jp/irias/
*全生庵「円朝まつり 幽霊画公開」8/1~8/31
http://www.theway.jp/zen/
*落語協会まつり 8/9(日)
http://www.enjoytokyo.jp/OD004Detail.html?EVENT_ID=268691

「旅猫さんの信州旅行」@高遠本の家

本の家(長野県伊那市高遠町)でのイベントのお知らせです。
旅猫雑貨店

旅猫さんの信州旅行
2009年7月14日(火)~8月16日(日)

9月13日(日)まで期間延長!


東京雑司が谷の「旅猫雑貨店」さんが高遠に帰ってきます。
手ぬぐい、風船、文具などの定番モノに加え、今回は特に旅をテーマにした品を選んでいただくことになりました。
昨年ご来店いただいた皆様はもちろん、夏休みの信州旅行を計画中の旅のお客様、是非いちどご覧ください。

http://hon-no-machi.com/2009/07/exhibition10/