ご来場ありがとうございました!(第48回西荻ブックマーク「今宵、短歌と」)


2010年も残すところ10数日となった12月19日(日)。第48回西荻ブックマークが開催されました。

出演者は歌人、小説家の東直子さん。進行役としてわれらが北尾トロさん。トロさんが聞き手として進めてゆきます。

まずは、東直子さんの紹介。歌人でもあり小説家でもある、東直子さんの短歌をはじめられる前のこと、はじめられたきっかけ、小説と短歌の取り組みかたと表現方法の違いなど、トロさんならではの柔らかく包みこむ口調でありつつも、ときには鋭い切り口を見せるインタビューが展開します。

つづいて、イベントの時点では発売前にあたる最新の短歌集『十階』の朗読。

短歌日記のかたちをとっていて、2007年の365日分の歌が一日一ページ分収録されています。

3年前にあたる作中の同12月19日から31日までが朗読されます。

東直子さんのお誕生日、クリスマス、年の瀬、おせち作り、大みそかとイベントのつづく年末の毎日が短歌となって朗読されてゆきます。

そのあとは、短歌集の編集と構成について、歌壇の結社と歌人の話、東さんが書かれたミュージカル、twitterでの短歌など、話題はあちこちに飛びかいます。

スポットライトを浴びた東直子さんは、ベージュのマフラーに黒のトップスという落ちついた印象の服装で、頻繁に見せられる笑顔はちょうど冬の午後の暖かい陽射しのようでした。

休憩時間に、物販コーナーの『十階』はたちまち完売してしまいました。

後半の第2部からは、お客さん数名がこの日のために作ってくださった短歌を、東さんが朗詠し、歌の寸評をおこなってゆきます。

NHK短歌でも添削指導を行っている東直子さんならではの鋭い寸評。加えて、男、女それぞれの歌詠みさんへの作歌のアドバイスなどもされました。

東さんは小説も7冊刊行されていますがそれぞれの作品のカラーが違うとトロさんもうなり声まじりに感想を述べていました。

そのように多才な表現形式を持つ東直子さんですが、短歌と小説では使う筋肉が違う、でも、いろいろなものをたくさん書いてゆくのが、面白くて仕方がないです、とにこやかな笑顔でしめくくられました。

今後の東直子さんの活動ぶりが楽しみでもあり、頼もしくもありました。

スタッフ:添田


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アートディレクション、デザイン/柴田ユウスケ(soda-design)

イラスト/吉田香楠子

写真/竹林省悟


「大森・山王書房の旅」レポート

昔日の客12月12日の午後、JR大森駅の改札前に、夏葉社の島田さんの企画「大森・山王書房の旅」に参加する面々が集まりました。夏葉社さんのツイッター告知で知ったという9名が、この秋に復刊した関口良雄著『昔日の客』(現在2刷)へのそれぞれの思いを携えてやって来ました。

関口良雄さんの御子息・直人さんの案内で、一行はバスに乗って池上通りを進み、〈大田文化の森〉で下車。目指すはそのバス停から数分の場所にある、旧・山王書房です。当時の面影はないですが、かつては夜9時位まで明かりがついていたお店がそこにあったのです。一同、最初から、気持ちがかなり高まります。
山王書房の看板
そして招かれて入った玄関で一同が見上げた先には、「山王書房」の看板が。さらに感動です。
1階のお部屋に通して頂いたのですが、そこは“良雄さんと山王書房の部屋”。書棚には文章に登場した作家たちの著作がぎっしりと収まっていました。
玄関でにこやかに迎えて下さった故良雄さんの奥様・洋子さんが加わって、「この先がお店になっていて、親父はこう座って…」と直人さんの話が始まり、山王書房での良雄さんの写真など思い出の写真を次々と見せてもらいました。壁には作家から送られた色紙や、直筆の若山牧水や石川啄木の歌が。半紙に書いたそれらの歌は、表がガラスの箱に入れて後ろからライトを当て、店に飾っていたのだそうです。だいたい一週間に一度は替えて楽しんでいたそうで、それをお店の前を通るバス停や乗り込んだバスの窓から見て楽しんだ人もいたとか。馬込の文士村へ行く人が途中で立ち寄り、店主との会話を楽しんでいたというエピソードなどが、お二人から語られました。そして、最も興奮(感動)したのは、野呂邦暢さんから贈られた著作『海辺の広い庭』を、直人さんが開いて見せてくれた時でした。
そこには青の地に黒く太めの文字で、“昔日の客より感謝をもって”の一文が。
……現在、夏葉社では追悼文集「関口良雄さんを憶う」の復刊作業を進めています。来年のまだ春を迎える前に、私たちは読む事が出来そうです。それを聞いた一同は、期待が膨らんで仕方ありませんでした。

さて、ひとしきりお話を聞いて、お二人の案内で「昔日の客」ゆかりの場所や大森・池上界隈の散策へと出発しました。直人さんの説明を聞きながら、目指すは大田区立の川端龍子記念館。目的は併設の龍子公園(龍子のアトリエとその庭)です。解説付きで龍子が設計・建築した元住居を見学した後に、一同は馬込の住宅街に入り込みます。作家・三島由紀夫邸の前を静かに通り過ぎ、女優・長岡輝子のエピソードを洋子さんから聞きつつ自宅跡を見ながら南馬込方面へ。 “新しい家ばかりになってしまった”と話す洋子さん。起伏のある馬込の坂道を、杖をついてすたすたと歩いていきます。もうじき80歳になられるとは思えないその健脚に一同は驚きながら、桜並木に出て、黒鶴稲荷神社のある高台の等閑森(とうかもり)へ。

直人さんが子どもの頃は、夕方になると大森方面を一望に見渡せる場所としてよく来ていたそうです。今は木々が生い茂ってよく見えません。
さらに休むことなく(!)池上方面へと歩き、表紙の口絵に使われた曙楼跡へと向かいます。かつて賑わっていた当時の面影はありませんでしたが、看板がありました。
日が暮れ始める頃に今度は池上本門寺へ。夕闇の中で文豪や有名人のお墓を教えてもらい、盛り上がりながら抜けていきます。本堂へ出た頃にはあたりはとっぷりと暗くなっていましたが、気にせず向かった先は良雄さんお気に入りの散歩先の一つ、『孤独の橋』です。散歩に出かける時の良雄さんは、いつでも句を詠めるように筆記用具を携帯していたそうです。
そのお気に入りの橋の下には、当時はなかった都営地下鉄浅草線(終点:西馬込駅)の引き込み線と車庫がありました。鉄道ファンが好きそうなその場所は、良雄さんによってそんな素敵な名前がつけられていたのですね。
ここでまだまだツアーは終わらず、池上梅園公園を通り過ぎて大坊本行寺へと向かいます。このお寺の境内で良雄さんを撮った写真があるということで、思い出の場所なのです。つい数年前に良雄さんが亡くなられたかのように詳しく懐かしそうに話すお二人の様子に、故人への強い愛情を感じました。
ツアーの最終地は東急池上線池上駅でした。3時間以上の長い散策の最後、洋子さんからの“皆さん、お疲れさまでした”の言葉に、先にこちらがお礼を言うべきなのに…と恐縮してしまいました。
お二人のお陰で本当に楽しいツアーとなりました。私は下調べをほとんどせずに出かけてしまったのですが、当時の街の様子その時代の生活も実際に知らなくとも、お二人の案内で文士村の雰囲気を、そして当時の馬込や池上界隈を実際に体感したかのような錯覚に、一瞬捉われました。帰りの東急線では、ツアーの内容と『昔日の客』を頭の中で繋げて反芻していました。関口良雄さんを憶う
『昔日の客』を読み返すたびにしみじみと余韻に浸っている読者の皆さん、来年の早いうちに夏葉社さんから素敵な復刊作品が届きます! 楽しみに待つことにいたしましょう。

スタッフ・加藤


「hQh presents 年忘れ!タルホ派フォンタジー・ナイトなりや?ハッ!!! 羽良多平吉 featuring 古多仁昴志 from 信州」

hQh presents TAROUPHO SCHOOL FONTASY NIGHT

hQh presents

年忘れ!タルホ派フォンタジー・ナイトなりや?ハッ!!!

羽良多平吉 featuring 古多仁昴志 from 信州

日時:12月27日(月)

第1部:20時~21時

YouTube Jockey: a tribute to Viceroy K. K.

出演:羽良多平吉

第2部:21時~22時

ギャラリー・トーク:稲垣足穂さんピクチャレスク

出演:古多仁昴志・羽良多平吉・高橋信行・中村邦夫

併催:15時~22時 古多仁昴志テクノアート+稲垣足穂コレクション展

参加費:ご飲食代

会場:6次元 東京都杉並区上荻1-10-3-2F (JR荻窪駅西口改札より徒歩3分) 電話:03-3393-3539

http://www.6jigen.com/

協力:ドノゴトンカ(扉野良人・木村カナ・郡淳一郎)

Donogo-o-Tonka

http://donogo-o-tonka.jp/


第48回西荻ブックマーク

ゆき ふふふ

2010年12月19日(日)

今宵、短歌と

出演:東直子(歌人、小説家)
会場:今野スタジオマーレ
開場:16:30/開演:17:00
料金:1500円
定員:30名
要予約
短歌に敷居の高さを感じている方々。そんなことないです。
なぜなら、短歌は……。その魅力を語り、作品に触れ、実作も!?
初心者の方もそうでない方も、今宵、短歌と出会ってください。
水銀灯が消えるまで東直子(ひがし なおこ)
歌人、小説家。歌人集団「かばん」同人。1996年、「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞受賞。「長崎くんの指」「甘い水」他著書多数。短歌番組『NHK短歌』選者もつとめる。