第82回西荻ブックマーク

太宰治『晩年』(昭和11年)『虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ』(昭和12年)

太宰治
『晩年』(昭和11年)
『虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ』(昭和12年)
初版復刻・日本近代文学館発行

朗読と対談「太宰治がいた杉並」

日時:2014年11月30日(日) 開場:16:30/開演:17:00
会場:ビリヤード山崎(西荻窪駅北口徒歩1分)
定員:50名
料金:1500円(要予約)
申込:西荻ブックマーク

今年生誕105年を迎えた太宰治は、青春期に荻窪に住んでいました。
退学、自殺未遂、入・転院、妻との離別など苦難の連続の中でも、同人誌を編み、デビューを果たし、師や友人たちと交わりながら、作家としての実力をたくわえていきます。
今回は、太宰はじめ荻窪・阿佐ヶ谷の文士たちを、長年にわたり研究されている萩原茂先生と、三鷹を拠点に太宰ゆかりの地での朗読活動を続けておられる原きよさんをお招きして、杉並時代の太宰治の約5年間を、スライドと作品朗読で探っていきます。西荻との浅からぬ縁もご紹介します。

出演者(敬称略)

萩原 茂
吉祥女子中学・高等学校教諭。
長年にわたり荻窪・阿佐ヶ谷界隈の文学者の研究、区立図書館主催の文学散歩や、旅行雑誌・教育誌の文学散歩特集などを担当。共著に『太宰萌え!』(岡崎武志監修 毎日新聞社刊)、『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』(川本三郎監修 幻戯書房刊)

原 きよ
朗読家・フリーアナウンサー。
太宰治作品朗読に力を入れ、三鷹市を拠点にライブ活動を展開。太宰生誕の日(6月19日)は、太宰が疎開時代に暮らした新座敷で朗読を行う。一方で、音楽家との共演など活動の場を広げている。三鷹ネットワーク大学、調布カルチャーセンター朗読講座講師。

主催:すぎなみ学びの楽園・西荻ブックマーク 協力:西荻文学散歩の会


西荻文学散歩の会

参加者募集!
「西荻文学散歩の会」

杉並在住の作家研究で知られる萩原茂先生(吉祥女子中学・高等学校)や、

「西荻ブックマーク」のスタッフたちを中心にスタートした企画。

西荻窪に住んだ作家や文化人の足跡を一緒に調べたり、取材したりしませんか?

第2回の3月は、荻窪界隈の文学散歩を予定。

参加者募集、お気軽にお問い合わせください。

(担当:奥園)

※『西荻丼』vol.27「要チェック」欄掲載の「西荻文学散歩の会」参加者募集に掲載した、萩原茂先生のご所属の記載に誤りがありました。たいへん申し訳ありませんでした。萩原先生と関係各位にお詫び申し上げますとともに、本記事において、訂正して掲載させていただきます。

「没後30年 上林暁展」

没後30年 上林暁展

上林暁は、「阿佐ヶ谷会」の中心メンバーの一人で、戦後を代表する私小説作家です。上林暁は2度の脳いっ血で、右半身の自由を失い、病後は、利き手ではなかった左手と、実の妹徳広睦子の口述筆記により創作活動を続けました。今回は上林暁の没後30年を偲び、上林暁の生涯や「阿佐ヶ谷会」での交友がうかがえる写真パネル、直筆原稿・書簡(レプリカ)などを展示します。
【日 時】   平成22年10月5日(火)~11月8日(月)
【場 所】   阿佐谷図書館 入口展示コーナー及び館内
【協 力】   杉並区立郷土博物館、徳廣睦子氏、萩原茂氏
【問い合せ】 阿佐谷図書館 電話 03-5373―1811

展示の一部として『昔日の客』コーナーがあり、新旧二冊の『昔日の客』、関口良雄編集の『上林暁文学書目』、尾崎一雄・上林暁・木山捷平・関口良雄・山高登の五人句集『群島』を見ることができるそうです。


ご来場ありがとうございました!(第33回西荻ブックマーク「『昔日の客』を読む~大森・山王書房ものがたり~」)

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山王書房は、東京・大森で1953(昭和28)年に開店し、店主・関口良雄さんの逝去のため1977(昭和52)年に閉店した古書店。尾崎一雄や上林暁、野呂邦暢ら、大森近在の文学者に愛された伝説的なお店です。

関口良雄さんがご自身の還暦の節目として、それまでに書きためた文章をまとめたのが、随筆集『昔日の客』。小部数の出版だったため現在では入手困難な本ですが、その文章の素晴らしさから、知る人ぞ知る「幻の名著」です。

第33回のメイン出演者は、山王書房店主・関口良雄さんのご子息で音楽プロデューサーの関口直人さんと岡崎武志さん。
この本が「文庫化されてだれもが読めるように、みんなで声をあげて応援していきたい」という岡崎さん。関口さんとともに、その魅力を存分に語っていただきました。

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関口直人さんと岡崎武志さん

17時開演。あいにくの雨にもかかわらず、熱心なお客様で会場は満席です。
メイン出演者のおふたりの横には、在りし日の関口良雄さんの写真が飾られています。

本の完成前に関口良雄さんが亡くなったため、直人さんがあとがきを書くことになったいきさつ。
直人さんの結婚式当日、出来上がった本が式の会場に届けられていた感激。
直人さんの誕生日が2月19日で、『昔日の客』もちょうど219ページだった偶然。
式の集合写真を撮影する直前、どこからか銀杏の葉(関口良雄さんの俳号が銀杏子)が1枚、直人さんのもとへ舞い落ちてきた不思議……。
淡々と語られる、まるで小説のようなエピソードの数々に、会場からは感嘆の声があがります。

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朗読する直枝政広さん

休憩をはさんだ後半には、シークレットゲストのミュージシャン・直枝政広さん(カーネーション)が登場。『昔日の客』の一部を朗読してくださいました。
幅広い趣味を持ち、渋い本読みでもある直枝さん。長年探していた『昔日の客』が、以前からお知り合いだった関口さんのお父上の本であることは、数年前、偶然知ったのだとか。

ちなみに、先月、関口良雄さんの33回忌を迎えられたそうですが、なんと西荻ブックマークも今回が第33回! ここにも不思議な偶然が生まれていたのでした。

客席には、石神井書林・内堀弘さんやライター・荻原魚雷さん、天誠書林・和久田さん(中学生のころから山王書房に通っておられたのだそう)の姿も。途中で、それぞれ『昔日の客』の魅力や関口良雄さんの思い出を語ってくださいました。お三方ともに、関口良雄さんの文章と人となりに敬愛の念を抱いていることがよく伝わってきました。

その後は、山王書房についての資料集「風狂の人・山王書房店主関口良雄」を編纂された萩原茂さんもトークに参加。関口さんと岡崎さんのリラックスした語り口のおかげで、会場は終始なごやかな雰囲気に包まれていました。

西海孝『空を走る風のように、海を渡る波のように』
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最後には、関口直人さんが持参されたギターで、関口良雄さんが遺した詩に曲を付けた歌を披露。大きな拍手のなか、イベントは幕を閉じました。

来場されたお客様には、萩原さんのご好意で「風狂の人・山王書房店主関口良雄」がプレゼントされました。手軽に『昔日の客』が読めるようになる日まで、この本で関口さんの業績をしっかり「予習」しておくことができますね。

ほとんどの方が未読だったと思いますが、それでも「昔日の客」の類を見ない面白さは、お客様に十分伝わったのではないでしょうか。
出演者のみなさん、ご協力いただいたみなさん、お越しくださったみなさん、ありがとうございました。

次回からの西荻ブックマークも、どうぞよろしくお願いいたします。

スタッフ:宮里

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