
第33回で取り上げた、古書店「山王書房」店主にして随筆集『昔日の客』著者、関口良雄(1918-1977)。
そのご子息である関口直人さん作詞の「父の歌」(西海孝『空を走る風のように、海を渡る波のように』収録)に関口良雄の写真を合わせた動画がYouTubeにアップされています。
YouTube – 西海 孝「父の言葉」
第33回で取り上げた、古書店「山王書房」店主にして随筆集『昔日の客』著者、関口良雄(1918-1977)。
そのご子息である関口直人さん作詞の「父の歌」(西海孝『空を走る風のように、海を渡る波のように』収録)に関口良雄の写真を合わせた動画がYouTubeにアップされています。
YouTube – 西海 孝「父の言葉」
山王書房は、東京・大森で1953(昭和28)年に開店し、店主・関口良雄さんの逝去のため1977(昭和52)年に閉店した古書店。尾崎一雄や上林暁、野呂邦暢ら、大森近在の文学者に愛された伝説的なお店です。
関口良雄さんがご自身の還暦の節目として、それまでに書きためた文章をまとめたのが、随筆集『昔日の客』。小部数の出版だったため現在では入手困難な本ですが、その文章の素晴らしさから、知る人ぞ知る「幻の名著」です。
第33回のメイン出演者は、山王書房店主・関口良雄さんのご子息で音楽プロデューサーの関口直人さんと岡崎武志さん。
この本が「文庫化されてだれもが読めるように、みんなで声をあげて応援していきたい」という岡崎さん。関口さんとともに、その魅力を存分に語っていただきました。
17時開演。あいにくの雨にもかかわらず、熱心なお客様で会場は満席です。
メイン出演者のおふたりの横には、在りし日の関口良雄さんの写真が飾られています。
本の完成前に関口良雄さんが亡くなったため、直人さんがあとがきを書くことになったいきさつ。
直人さんの結婚式当日、出来上がった本が式の会場に届けられていた感激。
直人さんの誕生日が2月19日で、『昔日の客』もちょうど219ページだった偶然。
式の集合写真を撮影する直前、どこからか銀杏の葉(関口良雄さんの俳号が銀杏子)が1枚、直人さんのもとへ舞い落ちてきた不思議……。
淡々と語られる、まるで小説のようなエピソードの数々に、会場からは感嘆の声があがります。
休憩をはさんだ後半には、シークレットゲストのミュージシャン・直枝政広さん(カーネーション)が登場。『昔日の客』の一部を朗読してくださいました。
幅広い趣味を持ち、渋い本読みでもある直枝さん。長年探していた『昔日の客』が、以前からお知り合いだった関口さんのお父上の本であることは、数年前、偶然知ったのだとか。
ちなみに、先月、関口良雄さんの33回忌を迎えられたそうですが、なんと西荻ブックマークも今回が第33回! ここにも不思議な偶然が生まれていたのでした。
客席には、石神井書林・内堀弘さんやライター・荻原魚雷さん、天誠書林・和久田さん(中学生のころから山王書房に通っておられたのだそう)の姿も。途中で、それぞれ『昔日の客』の魅力や関口良雄さんの思い出を語ってくださいました。お三方ともに、関口良雄さんの文章と人となりに敬愛の念を抱いていることがよく伝わってきました。
その後は、山王書房についての資料集「風狂の人・山王書房店主関口良雄」を編纂された萩原茂さんもトークに参加。関口さんと岡崎さんのリラックスした語り口のおかげで、会場は終始なごやかな雰囲気に包まれていました。
最後には、関口直人さんが持参されたギターで、関口良雄さんが遺した詩に曲を付けた歌を披露。大きな拍手のなか、イベントは幕を閉じました。
来場されたお客様には、萩原さんのご好意で「風狂の人・山王書房店主関口良雄」がプレゼントされました。手軽に『昔日の客』が読めるようになる日まで、この本で関口さんの業績をしっかり「予習」しておくことができますね。
ほとんどの方が未読だったと思いますが、それでも「昔日の客」の類を見ない面白さは、お客様に十分伝わったのではないでしょうか。
出演者のみなさん、ご協力いただいたみなさん、お越しくださったみなさん、ありがとうございました。
次回からの西荻ブックマークも、どうぞよろしくお願いいたします。
スタッフ:宮里
出演:関口直人(音楽プロデュサー/ディレクター) 岡崎武志(ライター、書評家) 会場:今野スタジオマーレ 開場16:30/開演17:00 料金:1500円(会場でお支払い下さい)
定員25名 要予約
多くの文士に愛され、小説の舞台にもなった東京大森の古書店「山王書房」(昭和28年~52年営業)。店主 関口良雄が残した今や幻の名随筆『昔日の客』を、ご子息である関口直人さんをお招きして紹介いたします。ナビゲーターはご存知岡崎武志さん。お二人のまるで掛け合い漫才のような名調子も聞き物です。このささやかなイベントを通じて、広く一般に読み継がれる復刊運動の一助になることを祈ります。
萩原茂さん(吉祥女子中学・高等学校広報室長)による超充実の資料集『風狂の人・山王書房店主関口良雄』を来場者全員にプレゼント!
関口良雄『昔日の客』復刊応援特集 公開中!
”『昔日の客』は大好きな一冊で、もう何度読んだかわからない”
内堀弘(古書肆 石神井書林)
”古本エッセイのなかでも、これほど純粋で、古本への愛、人への愛に満ちた本は他にないと思う。愛があるから哀しみもある。”
林哲夫(画家・装幀家・文章家)